ステーキを家で焼くとき、「何度で焼けばいいの?」「フライパンはどれくらい熱すればいいの?」って悩みませんか。お店みたいにジューシーで美味しく焼きたいけど、温度管理が難しくて失敗しちゃったり。外は焦げてるのに中が冷たかったり、逆に火を通しすぎてパサパサになったり。実はステーキの焼き方で一番大事なのが温度なんです。肉の中心温度、フライパンの温度、そして焼く前の肉の温度。この3つをちゃんとコントロールできれば、誰でもお店レベルのステーキが焼けるようになります。今回は、ステーキの焼き方における温度管理について、焼き加減別の適切な温度から温度計の使い方まで、詳しくご紹介していきます。
なぜステーキの焼き方で温度が重要なのか
そもそもなんで温度管理がそんなに大事なんでしょうか。その理由を知っておくと、焼くときの意識が変わってきますよ。
タンパク質の変化と温度の関係
お肉の主成分はタンパク質です。このタンパク質は温度によって変化する性質があるんです。
だから温度をコントロールすることで、柔らかくてジューシーなステーキが作れるわけです。適切な温度で焼けば、タンパク質が固くなりすぎず、肉汁も逃げません。
焼き加減と温度の密接な関係
レアやミディアムレアといった焼き加減は、実は肉の中心温度で決まります。感覚だけで焼くより、温度を基準にしたほうが確実に美味しく焼けるんですよ。
例えばミディアムレアなら中心温度55度から60度。この温度になるように焼けば、毎回同じ焼き加減で仕上がります。
フライパンの温度も超重要
肉の温度だけじゃなくて、フライパンの温度も焼き上がりを左右します。温度が低すぎるとくっつくし、高すぎると外だけ焦げちゃいます。
適切なフライパンの温度は180度から200度くらい。この温度で焼くと、きれいな焼き色がついて香ばしく仕上がります。
焼き加減別の肉の中心温度
それでは具体的に、焼き加減ごとの適切な温度を見ていきましょう。温度計があれば、これを目安に焼けば失敗しません。
レアの温度は50度から55度
レアは表面だけしっかり焼けていて、中は赤い状態です。中心温度は50度から55度が目安になります。
焼き加減 | 中心温度 | 見た目 |
---|---|---|
レア | 50℃〜55℃ | 中心部は赤く、温かい |
この温度だと、タンパク質の変性が最小限に抑えられて、肉本来の柔らかさと旨味が楽しめます。ただし表面はちゃんと焼いて殺菌する必要がありますよ。


ミディアムレアの温度は55度から60度
ミディアムレアは一番人気の焼き加減です。中心温度は55度から60度を目指しましょう。
焼き加減 | 中心温度 | 見た目 |
---|---|---|
ミディアムレア | 55℃〜60℃ | 中心部はピンク色で温かい |
この温度だとタンパク質が適度に固まって、肉汁もしっかり保持されます。柔らかさとジューシーさのバランスが最高なんです。ステーキ専門店でもミディアムレアを推奨することが多いですよ。
ミディアムの温度は60度から65度
ミディアムは肉全体に適度に火が通った状態です。中心温度は60度から65度が適切です。
焼き加減 | 中心温度 | 見た目 |
---|---|---|
ミディアム | 60℃〜65℃ | 中心部は薄いピンク色 |
60度を超えるとタンパク質の収縮が進んで、肉汁がやや少なくなります。でも生っぽさはないので、レアが苦手な人はこの温度がおすすめです。
ミディアムウェルの温度は65度から70度
ミディアムウェルはミディアムとウェルダンの中間です。中心温度は65度から70度になります。
焼き加減 | 中心温度 | 見た目 |
---|---|---|
ミディアムウェル | 65℃〜70℃ | ほぼピンク色がない |
この温度帯になると肉汁がかなり減ってきます。パサつきやすいので、脂の多いサーロインなどがおすすめです。
ウェルダンの温度は70度以上
ウェルダンは中までしっかり火が通った状態です。中心温度は70度以上です。
焼き加減 | 中心温度 | 見た目 |
---|---|---|
ウェルダン | 70℃以上 | 全体が褐色で肉汁少なめ |
70度を超えると肉汁がほとんど流れ出てしまって、固い食感になります。ウェルダンで美味しく食べるには、ソースをたっぷりかけるといいですよ。
温度計を使ったステーキの焼き方
温度計があれば、確実に好みの焼き加減に仕上げられます。使い方とコツを詳しく説明します。
おすすめの温度計の種類
ステーキに使える温度計は大きく分けて2種類あります。
デジタル温度計
先端を肉に刺して、数秒で温度を表示してくれます。正確で使いやすいのでおすすめです。1000円から3000円くらいで買えます。
赤外線温度計
肉の表面温度を測れます。フライパンの温度も測れて便利です。ただし中心温度は測れないので、デジタル温度計と併用するといいですよ。
温度計選びのポイント
測定範囲がマイナス50度から300度くらいあるものを選びましょう。防水機能があると洗いやすくて便利です。反応速度が速いものほど使いやすいです。
温度計の正しい使い方
温度計を使うときは、肉の一番厚い部分の中心に刺します。これが一番重要なポイントです。
刺す角度は水平に、肉の側面から中心に向けて差し込みます。上から刺すとフライパンに当たって正確に測れないことがあります。
温度計の先端が肉の真ん中に来るようにして、10秒くらい待ちます。デジタル温度計なら音が鳴ったら測定完了です。
温度計を使った焼き方の手順
それでは実際に温度計を使って焼く手順を説明します。
1. フライパンを200度くらいに熱します
2. 肉の両面を強火で1分ずつ焼いて焼き色をつけます
3. 火を弱めて、温度計で中心温度を測りながら焼きます
4. 目標温度の5度手前になったら火を止めます
5. アルミホイルで包んで5分休ませます
6. もう一度温度を測って、ちょうどいい温度になっていればOK
温度計がないときの対処法
温度計がなくても、手の感触で焼き加減を確認できます。
親指と人差し指で輪を作って、親指の付け根を押します。この柔らかさがレアです。中指と親指ならミディアムレア、薬指と親指ならミディアム、小指と親指ならウェルダンです。
焼いている肉を箸やトングで押してみて、この固さと比べれば焼き加減がわかります。慣れるまで練習が必要ですが、覚えると便利ですよ。
フライパンの適切な温度管理
肉の温度だけじゃなくて、フライパンの温度管理も超重要です。適切な温度で焼かないと、美味しく仕上がりません。
フライパンを熱する温度の目安
ステーキを焼くときのフライパンの温度は、180度から200度が理想です。
この温度だとメイラード反応という化学変化が起きて、香ばしい焦げ目と良い香りが生まれます。150度以下だとくっつきやすく、250度以上だと焦げやすくなります。
フライパンの温度を確認する方法
赤外線温度計があれば一発でわかりますが、なくても確認できる方法があります。
水滴テスト
フライパンに水を一滴垂らします。水滴がコロコロと玉になって転がれば、約180度です。すぐに蒸発するなら200度以上、ジュッと音がして広がるなら150度以下です。
煙が出るまで熱する
フライパンから薄く煙が出始めるのが、だいたい200度くらいです。この状態になったら油を入れて、すぐ肉を置きます。
油の様子で判断
油を入れたときにサラサラと広がって、少し煙が出るくらいが適温です。油がパチパチはねるのは熱すぎ、ドロッとしているのは温度が低いです。
温度を保ちながら焼くコツ
肉を入れるとフライパンの温度が下がります。温度を保つコツを知っておきましょう。
温度を保つポイント
- 厚手のフライパンを使う(蓄熱性が高い)
- 肉を一度に入れすぎない
- 肉を入れた後、火加減を調整する
- フライパンは十分に予熱する
薄いフライパンだと温度が不安定になりやすいので、鉄製や鋳鉄製の厚手のフライパンがおすすめです。テフロン加工の場合も、底が厚いものを選びましょう。
火加減と温度の関係
コンロの火加減によって、フライパンの温度が変わります。火加減と温度の関係を知っておくと便利です。
火加減 | フライパン温度 | 用途 |
---|---|---|
強火 | 200℃以上 | 焼き色をつける |
中火 | 150℃〜180℃ | じっくり火を通す |
弱火 | 100℃〜130℃ | 余熱で火を通す |
最初は強火で焼き色をつけて、その後中火から弱火でじっくり火を通すのが基本です。火加減を変えながら温度をコントロールしましょう。
焼く前の肉の温度管理
焼く前の肉の温度も、仕上がりに大きく影響します。適切な温度に調整してから焼きましょう。
常温に戻す派と冷たいまま派
これはよく議論になるポイントですが、肉の厚さによって答えが変わるんです。
厚いお肉(3センチ以上)の場合
常温に戻したほうがいいです。冷たいままだと中まで火が通る前に外が焦げてしまいます。焼く30分から1時間前に冷蔵庫から出しておきましょう。
薄いお肉(2センチ以下)の場合
冷蔵庫から出してすぐ焼いても大丈夫です。むしろ常温に戻すと火が通りすぎることがあります。
肉の理想的な開始温度
焼き始める時の肉の温度は、10度から15度くらいが扱いやすいです。
冷蔵庫の温度は4度くらいなので、30分常温に置くとちょうどこのくらいになります。冷たすぎると火の通りが悪く、温かすぎると焼きすぎになりやすいんです。
冷凍肉の解凍と温度
冷凍していた肉は、冷蔵庫でゆっくり解凍するのが基本です。
前日の夜に冷蔵庫に移しておけば、翌日には解凍できています。解凍後は冷蔵状態の肉と同じように、30分常温に置いてから焼きましょう。
急ぐ場合は流水解凍もできますが、ジップロックに入れて30分から1時間くらいかかります。電子レンジの解凍モードはムラができやすいので、あまりおすすめしません。
温度と時間の関係
温度と焼き時間は密接に関係しています。両方を理解することで、より正確に焼けるようになります。
厚さ別の焼き時間と温度
肉の厚さによって、同じ温度で焼いても時間が変わります。
厚さ | 焼き加減 | 片面の時間 | 中心温度 |
---|---|---|---|
1cm | ミディアムレア | 強火30秒+弱火30秒 | 55℃〜60℃ |
2cm | ミディアムレア | 強火1分+弱火1分半 | 55℃〜60℃ |
3cm | ミディアムレア | 強火1分+弱火2分 | 55℃〜60℃ |
4cm | ミディアムレア | 強火1分+弱火3分 | 55℃〜60℃ |
これはあくまで目安です。フライパンの温度や火力によって変わるので、温度計で確認しながら焼くのが確実ですよ。
低温調理という選択肢
最近人気なのが低温調理です。50度から60度の低温でじっくり火を通す方法です。
低温調理器や炊飯器の保温機能を使って、肉全体を55度から60度で1時間から2時間加熱します。その後フライパンで表面だけ焼けば、完璧なミディアムレアになります。
温度管理が楽で失敗しにくいんですが、時間がかかるのがデメリットです。時間に余裕がある特別な日におすすめの方法ですね。
休ませる時間と温度変化
焼いた後にアルミホイルで包んで休ませると、余熱で温度が5度から10度上がります。
だから目標温度の5度手前で火を止めるのがコツなんです。例えばミディアムレア(55度から60度)にしたいなら、50度から55度で火を止めて休ませます。
休ませる時間は焼いた時間と同じくらいが目安です。5分から10分くらい休ませると、肉汁が肉全体に行き渡って美味しくなります。
部位別の最適な焼き温度
ステーキ肉の部位によって、適した焼き温度が少し違います。部位ごとの特徴を知って、最適な温度で焼きましょう。
サーロインの焼き温度
サーロインは脂が多い部位なので、やや高めの温度で焼くのがおすすめです。
フライパンは200度くらいに熱して、強火で焼き色をつけます。脂が溶けて香ばしくなるのがサーロインの魅力です。中心温度は55度から60度のミディアムレアがベストですよ。
ヒレの焼き温度
ヒレは脂が少ない赤身肉なので、火を通しすぎると固くなります。
フライパンは180度から190度くらいで、サーロインより少し低めにします。中心温度は50度から55度のレアか、55度から60度のミディアムレアがおすすめです。それ以上焼くとパサパサになっちゃいます。
リブロースの焼き温度
リブロースはサーロインと同じく脂が多い部位です。200度くらいの高温でしっかり焼きましょう。
霜降りの脂を溶かすために、中心温度60度から65度のミディアムくらいまで焼いても美味しいです。脂が多いぶん、少し温度が高くてもパサつきにくいんです。
肩ロースの焼き温度
肩ロースは脂と赤身のバランスがいい部位です。180度から200度のフライパンで焼けます。
中心温度は55度から65度と幅広く対応できます。お好みの焼き加減で楽しめる万能な部位ですね。
季節や気温による温度調整
意外と見落とされがちですが、季節や室温によって温度管理を調整する必要があります。
夏場の温度管理
夏は室温が高いので、肉が常温になるのが早いです。冷蔵庫から出して15分から20分で十分です。
キッチンも暑いので、フライパンが予想以上に熱くなることがあります。火加減を少し弱めにして、温度計で確認しながら焼きましょう。
夏場の注意点
肉を常温に置きすぎると傷みやすいので注意してください。30分以上置く場合は、エアコンの効いた涼しい場所に置きましょう。
冬場の温度管理
冬は室温が低いので、肉を常温に戻すのに時間がかかります。冷蔵庫から出して1時間くらい置いても、まだ冷たいことがあります。
フライパンも冷えやすいので、しっかり予熱してから焼き始めましょう。温度が下がりやすいので、火加減を少し強めにするといいですよ。
湿度の影響
梅雨時など湿度が高い時期は、肉の表面が湿りやすくなります。キッチンペーパーでしっかり水分を拭き取ってから焼きましょう。
水分が残っていると焼き目がつきにくく、フライパンの温度も下がりやすくなります。カラッと仕上げるために、念入りに拭き取ってください。
オーブンを使った温度管理
フライパンだけじゃなくて、オーブンを使う焼き方もあります。温度管理がしやすいのでおすすめです。
オーブンの設定温度
オーブンでステーキを焼くときは、180度から200度に設定します。
最初にフライパンで両面を強火で1分ずつ焼いて焼き色をつけます。その後180度に予熱したオーブンに入れて、8分から15分焼きます。
肉の厚さによって時間を調整してください。2センチなら8分から10分、3センチなら12分から15分が目安です。
オーブンのメリット
オーブンを使うと温度が安定しやすいのがメリットです。
フライパンだと火加減の調整が難しいですが、オーブンなら温度を設定するだけ。複数枚を同時に焼けるのも便利です。ゲストが来るときなど、一度にたくさん焼きたいときに重宝しますよ。
逆焼きという方法
最近注目されているのが逆焼きという方法です。最初にオーブンで中まで火を通してから、最後にフライパンで表面を焼くやり方です。
オーブンを120度から140度の低温に設定して、30分から40分かけてゆっくり火を通します。中心温度が50度から55度になったら取り出して、強火のフライパンで両面30秒ずつ焼きます。
この方法だと温度管理が楽で、失敗しにくいんです。ただし時間がかかるので、余裕がある時におすすめです。
温度計以外の焼き加減確認方法
温度計がなくても、いくつかの方法で焼き加減を確認できます。
指の感触で確認する方法
これは先ほども少し触れましたが、手の感触で焼き加減を判断する方法です。
左手で色々な指と親指で輪を作って、右手で親指の付け根を押します。人差し指ならレア、中指ならミディアムレア、薬指ならミディアム、小指ならウェルダンです。
焼いている肉を箸で押してみて、この感触と比べます。慣れるまで練習が必要ですが、覚えると便利な方法ですよ。
肉汁の色で判断する方法
肉を指やトングで押したとき、出てくる肉汁の色で焼き加減がわかります。
赤い肉汁が出るならレア、ピンク色ならミディアムレア、薄いピンクならミディアム、透明ならウェルダンです。ただしこの方法だと肉汁が流れ出てしまうので、できれば避けたいですね。
切って確認する方法
一番確実なのは切って中を見ることですが、これも肉汁が流れ出るのでおすすめしません。
どうしても確認したいときは、端っこを少しだけ切って見ます。真ん中を切ると肉汁がドバッと出てしまうので注意してください。
よくある温度管理の失敗と対策
温度管理で失敗しやすいポイントと、その対策を紹介します。
外は焦げてるのに中が冷たい
これはフライパンの温度が高すぎるのが原因です。
250度以上の高温で焼くと、外だけすぐ焦げてしまいます。フライパンは200度くらいを保つようにしましょう。また、肉が冷たすぎる場合も同じ現象が起きます。厚い肉は常温に戻してから焼いてください。
中まで火が通りすぎてパサパサ
これは温度が高すぎるか、焼きすぎが原因です。
中心温度が70度を超えるとパサパサになります。温度計で確認しながら、目標温度の5度手前で火を止めましょう。余熱で丁度いい温度になります。
フライパンにくっつく
これはフライパンの温度が低すぎるのが原因です。
150度以下だと肉がくっつきやすくなります。しっかり予熱して、180度から200度になってから肉を置きましょう。煙が少し出るくらいまで熱すればOKです。
焼きムラができる
これはフライパンの温度が不均一か、肉の厚さがバラバラなのが原因です。
フライパンは全体をしっかり予熱しましょう。ガスコンロの場合、中心だけ熱くなりやすいので、フライパンを動かしながら予熱するといいですよ。
肉の厚さは包丁の背で叩いて、できるだけ均一にしておきましょう。
プロが使う温度テクニック
ステーキハウスのシェフが使っている温度管理のテクニックを紹介します。
ツーゾーン焼き
これはフライパンに温度の高い部分と低い部分を作るテクニックです。
ガスコンロなら火の真上を高温ゾーン(200度以上)、端を低温ゾーン(150度くらい)にします。最初に高温ゾーンで焼き色をつけて、その後低温ゾーンでじっくり火を通します。
温度を変えながら焼けるので、失敗しにくくなります。大きなフライパンがあればぜひ試してみてください。
バターベイスティング
焼いている最中に溶かしたバターを肉にかけ続けるテクニックです。
フライパンを傾けてバターを溜めて、スプーンですくって肉にかけます。これを繰り返すことで、均一に火が通って表面がカリッと仕上がります。
バターの温度は120度から150度くらい。高温のフライパンより優しく火が通るので、ジューシーに仕上がるんです。
スチーム仕上げ
最後に少量の水を加えて蒸し焼きにするテクニックです。
両面を焼いた後、水大さじ1を加えてすぐフタをします。30秒から1分蒸し焼きにすると、中までふっくら火が通ります。
蒸気の温度は100度なので、高温で焼くより柔らかく仕上がります。厚い肉に有効な方法ですよ。
温度管理に便利な道具
温度管理をしやすくする便利な道具を紹介します。
温度計の種類と選び方
すでに少し触れましたが、もう少し詳しく説明します。
即読み温度計
2秒から3秒で温度が表示される高性能な温度計です。3000円から5000円くらいしますが、正確で使いやすいです。料理好きなら持っておいて損はありません。
普通のデジタル温度計
10秒くらいで温度が表示されます。1000円から2000円で買えて、家庭用には十分です。
アナログ温度計
針で温度を示すタイプです。安いですが反応が遅いので、ステーキには向いていません。
鉄製フライパンのすすめ
温度管理がしやすいのは鉄製の厚手フライパンです。
鉄は蓄熱性が高いので、肉を入れても温度が下がりにくいんです。一度温まると温度が安定するので、プロも鉄のフライパンを使います。
最初は手入れが面倒に感じるかもしれませんが、使い込むほど使いやすくなります。ステーキを美味しく焼きたいなら、ぜひ鉄フライパンを試してみてください。
赤外線温度計
フライパンの表面温度を測れる赤外線温度計も便利です。
トリガーを引くだけで、離れた場所から温度が測れます。フライパンだけじゃなくて、オーブンの庫内温度なども測れて便利ですよ。2000円から4000円くらいで買えます。
温度と美味しさの科学
なぜ温度によって味が変わるのか、科学的な理由を知っておくと面白いですよ。
タンパク質の変性温度
肉のタンパク質には種類があって、それぞれ違う温度で変性します。
ミオシンというタンパク質は50度から55度で変性して、肉が引き締まります。アクチンというタンパク質は66度から73度で変性して、肉汁が流れ出ます。
だから60度くらいまでに抑えれば、ミオシンは変性してもアクチンは変性しないので、柔らかくてジューシーになるんです。
メイラード反応と温度
肉の表面を焼くと香ばしくなるのは、メイラード反応という化学変化のおかげです。
この反応は140度以上で起こります。だからフライパンを180度から200度に熱するんです。この反応で何百種類もの香り成分が生まれて、ステーキ特有の美味しそうな香りになります。
脂の融点と温度
牛肉の脂は40度から50度で溶け始めます。
だから50度以上に加熱すると、脂が溶けて旨味が口に広がるんです。逆に40度以下だと脂が固まったままで、美味しくありません。
サーロインなど脂の多い部位は、中心温度60度くらいまで焼いたほうが脂が溶けて美味しいんです。
温度を意識した盛り付けと提供
焼くだけじゃなくて、盛り付けや提供にも温度管理が関係します。
お皿を温める理由
ステーキを盛り付けるお皿は50度から60度に温めておくのが理想です。
冷たいお皿に乗せると、せっかく焼いたステーキが冷めてしまいます。脂が固まって美味しくなくなるんです。
お湯で温めるか、電子レンジで1分加熱すればOKです。触って温かいと感じるくらいが丁度いい温度ですよ。
提供までの時間
ステーキは焼きたてが一番美味しいです。温度が下がると味が落ちます。
理想は焼き上がってから5分以内に食べ始めること。休ませる時間を含めて、焼き始めてから15分以内に食べるのがベストです。
ゲストがいるときは、食べる準備ができてから焼き始めましょう。ソースや付け合わせは先に用意しておくといいですよ。
カットするタイミング
ステーキを切るのは食べる直前がおすすめです。
切ってしまうと断面から熱が逃げて、温度が下がりやすくなります。また肉汁も流れ出やすくなります。
できればテーブルで切り分けるか、一口大に切ったらすぐ食べるようにしましょう。
温度管理の応用テクニック
基本をマスターしたら、こんな応用テクニックも試してみてください。
厚い肉の温度グラデーション
とても厚い肉(5センチ以上)の場合、わざと温度のグラデーションを作ることがあります。
表面は高温でしっかり焼いて香ばしく、中心に向かって徐々に温度が低くなるようにします。こうすることで一つのステーキで色々な食感が楽しめるんです。
外側はメイラード反応でカリッと、中心はレアでとろっと。食べ進めるごとに味わいが変化して面白いですよ。
ダブル温度計法
プロが使うテクニックで、2本の温度計を同時に使います。
1本は肉の中心温度を測るために刺しっぱなしにして、もう1本は別の場所の温度を測ります。こうすることで温度分布がわかって、より正確に焼けます。
高価な肉を焼くときは、この方法を使うと失敗が減りますよ。
冷蔵休ませ法
ちょっと変わった方法ですが、焼いた後に冷蔵庫で休ませるテクニックがあります。
両面を強火で焼いた後、すぐに冷蔵庫に入れて10分休ませます。こうすることで温度の上昇が抑えられて、中心がレアのまま休ませられます。
その後もう一度フライパンで表面をサッと焼き直せば、外はカリッと中はレアのステーキになります。難しいテクニックですが、上手くいくと絶品ですよ。
各国のステーキ文化と温度
国によってステーキの焼き方や好まれる温度が違います。
アメリカのステーキ文化
アメリカではミディアムレアが一般的です。中心温度55度から60度で焼くのが主流ですね。
ステーキハウスでは高温のグリルを使って、表面を一気に焼き上げます。グリルの温度は300度以上になることも。短時間で焼くのでジューシーに仕上がります。
フランスのステーキ文化
フランスではレアからミディアムレアが好まれます。中心温度50度から58度くらいです。
フライパンにバターをたっぷり使って、比較的低温でじっくり焼きます。フライパンの温度は170度から180度くらい。優しく火を通して柔らかく仕上げるのがフランス流です。
日本のステーキ文化
日本ではミディアムからミディアムウェルが好まれることが多いです。中心温度60度から70度くらい。
生っぽいのが苦手な人が多いので、海外より火を通す傾向があります。鉄板焼きではシェフが目の前で焼いてくれて、温度管理も完璧です。鉄板の温度は200度から250度で、豪快に焼き上げます。
温度管理でよくある質問
温度管理について、よく聞かれる質問にお答えします。
温度計は毎回使うべき?
最初のうちは毎回使ったほうがいいです。
何度か焼いて感覚がつかめてきたら、温度計なしでも焼けるようになります。でも高価な肉を焼くときや、ゲストに出すときは温度計を使うと安心ですよ。
電子レンジで温度を上げてもいい?
焼く前に電子レンジで温めるのはおすすめしません。
電子レンジは中から加熱されるので、外と中の温度差が大きくなります。焼いたときにムラができやすくなるんです。常温に戻すときは自然に任せましょう。
温度計を刺すと肉汁が出る?
温度計の穴から少しだけ肉汁は出ますが、問題ない程度です。
心配なら、休ませた後に温度を測るといいでしょう。焼いている最中に何度も刺すと肉汁が出るので、測るのは1、2回に留めてください。
低温調理器は必要?
なくても美味しく焼けますが、あると便利です。
低温調理器を使えば温度管理が楽で、失敗がほとんどなくなります。ただし時間がかかるので、普段使いはフライパン、特別な日は低温調理器という使い分けがおすすめです。
これで温度マスター
ステーキの焼き方における温度管理、たくさん紹介してきました。一番大事なのは、焼き加減ごとの中心温度を知ること、フライパンを適切な温度に熱すること、そして温度計を活用することの3つです。
温度をコントロールできれば、ステーキは必ず美味しく焼けます。最初は温度計に頼りながらで大丈夫。何度か焼いているうちに、感覚でもわかるようになってきます。
ミディアムレアなら中心温度55度から60度。この数字を覚えておくだけでも、格段に美味しく焼けるようになりますよ。温度計を片手に、ぜひ挑戦してみてください。きっとお店に負けないステーキが焼けるはずです。
それでは、美味しいステーキライフを楽しんでください。
コメント