食卓を豪華に彩ってくれる牛肉ですが、「年間でどれくらい生産されているか」を知っていますか?
また、「国内で生産されている牛肉と輸入されている牛肉はどちらが多いの?」といった疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
ちなみに、実は日本で流通している牛肉はというのは、輸入牛の割合の方が多く、だいたい「30万トン(国内生産):50万トン(輸入牛全体)」といった数字となっています。
ここでは牛肉の国内生産と輸入牛の数、またその歴史や特徴的な出来事などをご紹介していまので、ぜひ興味がある方はご覧になっていってください。
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日本での牛肉生産の歴史
日本で牛肉の生産が本格的に開始されるようになったのは明治時代に入ってからです。
これは、それまで日本では牛肉を食べることが公に禁じられていたことによるもので、食用として牛を飼育することが一般的ではなかったからですね。
ちなみにまったく食べられていなかったわけではなく、戦国時代には織田信長がオランダ人宣教師との交流の一環で牛肉を食べていたとされる旨が史実として残っていますので、一応牛肉を食べ物として認識することはあったようです。
牛肉が食用として認められ、牛食文化が到来した明治時代になると、日本各地で牛肉の生産が始まるわけですが、その当時の生産量というのが以下になります。
年号 | 食用として飼育された牛の数 | 生産された食用牛の枝肉/トン |
1877年(明治10年) | 34,000 | - |
1882年 | 36,000 | - |
1887年 | 105,700 | - |
1892年 | 100,600 | - |
1894年(明治27年) | 143,900 | 19,500 |
1896年 | 145,100 | 21,900 |
1898年 | 157,900 | 24,300 |
1900年(明治33年) | 222,800 | 30,600 |
1902年 | 196,900 | 27,200 |
1904年(明治37年) | 287,700 | 37,900 |
1906年 | 158,500 | 23,900 |
……… | ||
1912年(大正元年) | 261,100 | 41,200 |
記録上ではこちらの数字が日本での牛肉生産の始まりとなっているわけですが、明治時代の中頃においてだいたい2万トンくらいの牛肉が流通していたことが分かりますね。
これが平成の終わりだと「30万トンちょっと」といった数字となりますので、ずいぶんと生産量も多くなってきたことが分かります。
また、明治から大正時代にかけては日本が欧米や東アジア諸国に戦争を仕掛けていた頃でした。
その時代になると「肉食をもって肉体と精神を充実させる」という考え方が盛んになってきたこともあり、牛肉の生産が加速化される要因となっています。
以後、順調に牛肉の国内生産量は増えていき、平成元年ごろのデータを見ますと国内生産量が「55万トンから60万トン弱」といった数字を残すほどとなりました。
しかし、昭和後期から平成初期にかけて牛肉の輸入が自由化されたことにより、国内の牛肉生産戸数というのが減っていくこととなり、次第に輸入牛肉の割合が多くなっていくことになるわけですね。
ちなみに昭和の終わり頃(1980年)に36万戸あった生産農家が、平成中期(2010年)になると7万戸ほどまで減ってきているので、その差は歴然です。
こうした流れで牛肉の国内生産量は段々と減ってきて、現在は30万トンほどで横ばい状態が続いています。
輸入牛の歴史、量と割合の推移
現在、日本に輸入されている牛肉の量というのは「年間50万トンを少し上回る」くらいとなっています。ちなみに、食用として日本に輸入牛が入ってきたのは明治時代の初め頃です。主にショートホーン種などが輸入され、国産の牛との交配にも使われています。
また、大正時代になると朝鮮半島を含むアジアからも牛肉が輸入されるようになり、食用として扱われていました。このときに輸入された牛というのがおよそ3万頭(6.5万トン)ということですので、すでに国内生産よりも同等か、それよりも少し多く流通していたことが分かります。
そして、昭和に入ると戦争の影響もあり、日本は貿易の自由化を迫られることになり、結果としてアメリカを含む多くの外国から牛肉を輸入することになるわけですね。ちなみに、昭和の終わり(1980年)に17万トン程度だった輸入牛が、貿易の自由化によって2000年には100万トンを超えることになっていますので、その上がり幅の凄さが分かるかと思います。
しかし、その後2000年代初頭にアメリカを始め多くの諸外国で発生した「BSE問題」によって輸入牛の割合は最盛期の6割ほどまでに減っていくことになります。
そして2010年代からは輸入の割合も落ち着きを見せて、前述した50万トン程度が横ばい状態として続いているといった形です。
なお、牛肉の輸入が行われるようになった当初はアメリカからの輸入がメインでしたが、BSE問題があってからはオーストラリアからの輸入割合が最大となっています。
現在においてもおよそ50万トンの輸入牛のうち半分以上がオーストラリア産のものなのですが、分かりやすく下にデータをまとめておきますので参考にしてみてください。
2016年輸入牛の国別割合トップ3
輸入量:50.4万トン
1位:オーストラリア27万トン(54%)
2位:アメリカ19万トン(38%)
3位:ニュージーランド1.6万トン(3%)
まとめ
- 2018年時点での割合比率「国内生産量およそ30万トン:輸入牛およそ50万トン」
- 1980年から2000年にかけて輸入牛の割合が多くなる(牛肉輸入自由化)
- 2000年以降、BSE問題でアメリカからの輸入が減少
- 国内生産量は現在のところ横ばい状態
牛肉の国内生産量と輸入量というのは、ご覧いただいたような関係性となっていて、現在(2010年頃から)のところはその比率が横ばい状態となっています。
実際に日本の目標としては国内生産量を上げたいようなのですが、生産農家の後継ぎがいないなどの問題で厳しい状況といったところ。
出来れば国産の美味しい牛肉をこれからも食べ続けたいと思いますので、問題が解決できるような環境が整うといいですね。